経理業務を効率化!アウトソーシングのメリット7選から導入時の注意点まで解説

とくに中小企業やスタートアップでは、経理担当者が1名~数名に集中し、属人化や採用難によるリスクが高まっています。
こうした課題を解決する有力手段として注目されているのが「経理のアウトソーシング」です。経理・財務の一部、またはすべてを外部の専門企業に委託することで、コスト最適化や業務効率化だけでなく、経営資源をコア業務に集中できるという大きなメリットがあります。
本記事では、経理アウトソーシングの主なメリット7選を中心に、導入時の注意点や費用相場、具体的な選び方まで徹底解説します。
経理アウトソーシングとは?
外部の専門企業に経理業務を委託する「経理アウトソーシング」とは、経理担当者が行っていた記帳代行や請求書発行、給与計算などのノンコア業務を切り出し、専門家に任せるサービスの総称です。
手続きが煩雑でミスが許されない分野だからこそ、プロの知見が活きます。アウトソーシング会社によっては、IPO支援や内部統制の構築支援など、高度なコンサルティングサービスを含むケースもあります。
経理アウトソーシングの導入が増えている理由
経理アウトソーシングが広がる最大の理由は、専門人材の確保が年々難しくなっているためです。特に給与計算や決算関連業務は、実務経験豊富なスタッフでなければ対応が難しく、採用のコストもかかりがちです。
さらに、急速に進むデジタル化(クラウド会計やRPAなど)についていくためには、社内で最新ツールを導入し、担当者を育成する手間とコストが必要になります。
こうした負担を軽減し、かつ専門性と効率を同時に追求する手段として、「経理アウトソーシング」は魅力的です。特にスピード感を求めるベンチャー企業やIPOを目指す成長企業は、アウトソーシングを導入することで社内の人的リソースをコア事業に集中させやすくなり、ビジネスの加速につなげています。
委託できる主な業務範囲
一口に「経理アウトソーシング」といっても、その対象領域は企業ごとに大きく異なります。たとえば、日常経理(記帳・支払処理・請求書発行など)から、給与計算・月次・年次決算業務、さらにはIPO支援や内部統制構築支援まで、多岐にわたるサービスを提供する事業者も存在します。
一方、税務申告や税務代理は税理士の独占業務となるため、アウトソーシング会社が直接手がけることは難しいケースが多いです。ただし、申告書類作成の前段階となる決算書の作成サポートや、会計処理の整合性チェックなどは積極的に行われています。
中には「給与計算だけ」「決算業務だけ」とスポット的に対応してくれる企業もあるため、自社の状況や課題に応じて必要な業務だけ切り出せるのも大きなポイントと言えるでしょう。
経理アウトソーシングのメリット7選
ここからは、経理アウトソーシングを導入することで得られる具体的なメリットを7つに分けて詳しく解説します。自社の課題や目標と照らし合わせながら、どのポイントに最も魅力を感じるかを把握しておきましょう。
メリット1:経理コストの適正化
コスト削減だけでなく、コスト構造を柔軟にできる点が大きな魅力です。自社で経理担当者を雇用する場合、給与や社会保険料、福利厚生、オフィススペース、PC・ソフトウェアライセンス費用など、実は多くの固定費が発生しています。
加えて繁忙期と閑散期の差が激しい場合でも、人件費は毎月ほぼ一定額が発生してしまいます。
しかし、経理アウトソーシングであれば、「実際の業務量に応じた外部委託費」という変動費に置き換えられるため、ビジネスの状況に合わせて費用をコントロールしやすくなります。特にプロジェクトベースの事業を展開している企業や、季節変動が大きい業界では、こうした柔軟性は大きなメリットと言えるでしょう。
また、採用コストや教育コストの大幅削減も見逃せません。経理人材は専門スキルが必要な一方で、離職リスクや人材不足などの外部要因にも左右されやすい領域です。アウトソーシングを活用すれば、こうした採用難や教育負担から解放され、結果的にトータルコストを最適化できる可能性が高まります。
メリット2:コア業務へのリソース集中
経理は会社にとって必要不可欠な業務ですが、売上や事業拡大に直接結びつく「コア業務」ではないという見方もできます。とくに経営者や上級管理職が経理関連の雑務に追われていると、本来取り組むべき戦略立案や新規事業開発、顧客対応などが後回しになってしまうことも少なくありません。
アウトソーシングにより、ノンコア業務を外部に任せることで、経営陣や主要スタッフの時間とエネルギーをコア業務に注力させることができます。
たとえば、財務分析や将来の資金調達計画に関しては、アウトソーシング企業から提供されるレポートを活用しつつ、社内では経営判断や戦略策定にフォーカスする、といった形です。これによって、事業成長のスピードを上げ、従業員全体の生産性向上につなげることができるでしょう。
メリット3:高品質・専門性の確保
経理アウトソーシング企業には、長年の実務経験を積んだスタッフや、有資格者(税理士・公認会計士・社会保険労務士など)が在籍しているケースが多いです。
こうしたプロフェッショナルのノウハウを、自社がいきなりすべて内製化するのは非常に困難ですが、アウトソーシングなら短期間で導入することが可能です。
さらに、経理・会計周りのルールは常に変わり続けます。消費税率の変更やインボイス制度、電子帳簿保存法の改正など、追いかけるだけでも相当な労力が必要です。
しかし、専門家であれば、これらの法改正情報を常時ウォッチし、素早く対応策を整えてくれます。自社がコンプライアンス違反や追徴課税のリスクを軽減できるだけでなく、常に最新の業務品質を維持できるのは、大きな安心材料となるでしょう。
メリット4:属人化の解消
「この業務は●●さんしかわからない」「担当者が退職したら何もわからない」といった状況は、多くの企業に潜むリスクです。経理処理は担当者個人の経験に依存しやすく、属人化が起こりやすい領域でもあります。
アウトソーシングを導入する段階で、業務フローやマニュアルの標準化が進むケースがほとんどです。外部委託先と契約を結ぶときに、各ステップの担当者や連絡ルートを明確化し、作業手順をドキュメント化する必要があるからです。
こうしたプロセスを踏むことで、業務のブラックボックス化や不正リスクを大幅に減らせるだけでなく、担当者不在時の業務停止リスクも低減できます。
属人化を解消し、組織全体が透明性を高めることで、長期的に安定した経営基盤を築くことが可能になります。特に、事業継続計画(BCP)の観点でも、経理アウトソーシングを活用するメリットは大きいと言えるでしょう。
メリット5:業務量変動への柔軟対応
経理業務は時期によって繁閑差が激しい典型例です。たとえば月末月初の支払処理や四半期・年次決算、※年末調整のシーズンなどには業務量が一気に増加する一方、閑散期はそれほど作業量がない場合もあります。
この波に合わせて社内人員を増減することは現実的ではないため、結果として繁忙期に残業が多くなり、ミスが増える原因にもなります。
しかし、アウトソーシングなら、必要なときに必要なだけのリソースを確保できます。スポット的に決算作業だけ依頼する、※年末調整の時期だけ追加スタッフをアサインしてもらうといった形で、業務量の波に合わせて柔軟に対応可能です。これにより、ピーク時の残業コストや人的ミスを抑え、従業員の負担軽減と品質向上を両立できるでしょう。
※年末調整:税理士業務
メリット6:事業継続計画(BCP)の強化
自然災害や感染症拡大など、不測の事態によって社内スタッフが出社できなくなる可能性は、どの企業にも存在します。経理担当者が一時的に出勤できない状況に陥っても、請求書発行や給与計算などは止めるわけにはいきません。
そこで、経理アウトソーシングを導入しておくと、リモートワークや遠隔地からのバックアップを確保しやすくなります。
アウトソーシング先の企業は、通常、複数人のチームで業務を回しており、クラウド会計システムなどを利用したオンライン対応も整備されています。
そのため、万が一、社内担当者が突然欠勤を余儀なくされても、外部スタッフが必要な処理を代行してくれる体制を取りやすいのです。こうした理由から、アウトソーシングは企業リスク低減策として注目されています。
メリット7:IPOや内部統制レベルの強化
上場を目指す企業や、すでに上場している企業にとって、経理・財務面の体制整備と内部統制の強化は必須課題です。とくにIPO審査では、経理プロセスの正確性や透明性、業務の分掌など、数多くのチェックポイントが設けられています。
こうした要件に対して、十分な知見や実務経験を持つスタッフをそろえ、適切なドキュメントを整えたり、監査法人とのコミュニケーションを図ったりするのは非常に時間と労力がかかるものです。
そこで、IPO支援の実績が豊富なアウトソーシング企業を選ぶと、監査法人対応やJ-SOX対応のノウハウを得られるため、効率的に上場準備を進めやすくなります。
自社で試行錯誤するよりも、豊富な事例と実績をもつ外部パートナーを活用することで、短期間での体制構築が可能になるでしょう。
導入時の注意点と対策
経理アウトソーシングには数多くのメリットがありますが、導入にあたってはいくつかのリスクやデメリットを認識し、対策を講じることが重要です。以下では、代表的な4つの注意点とその対策例を紹介します。
1. コストが割高になる可能性
注意点:外部委託の範囲が広がりすぎたり、オプションや追加依頼が重なると、想定以上の費用がかかる場合があります。
契約時に明示されていないサービスまで依頼すると、別途料金が発生し、結果的に社内雇用よりもコストが高くなる恐れがあります。
対策:まずは複数社から見積もりを取得し、料金体系をしっかり比較しましょう。また、契約時に「どの業務が追加費用になるのか」「どのレベルのカスタマイズであれば定額に含まれるのか」を明確に交渉しておくことが大切です。
価格だけでなく、得られる価値(業務品質やノウハウ、コンサル機能など)とのバランスも見極めましょう。
2. 情報漏洩リスク
注意点:経理・財務データは機密情報の塊です。万が一、アウトソーシング先でセキュリティ事故が発生すれば、取引先や社員の個人情報、会社の財務データなどが漏洩する危険があります。これは信用問題に直結し、企業存続に関わる深刻なダメージとなり得ます。
対策:アウトソーシング先の選定時に、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)の認証取得状況や具体的な情報管理体制、NDA(秘密保持契約)の内容を必ず確認しましょう。
クラウド会計の利用においても、通信の暗号化やアクセス権限の設定が適切に行われているかが重要です。社内でも必要最小限の人間だけがデータ閲覧できるようにするなど、対策を二重三重に講じることでリスクを大幅に低減できます。
3. コミュニケーション不足によるミス
主な注意点:リモートで業務を依頼する場合、認識の齟齬や連絡不足による処理ミスが発生することがあります。とくに経理処理の締切や支払いスケジュールなどが明確に共有されていないと、支払期限を逃す・数字が合わないなど、取り返しのつかないトラブルに発展する可能性も。
対策:あらかじめコミュニケーションルール(連絡手段・頻度・担当者)を定め、定期ミーティングやチャットツールを活用してこまめに情報共有を行いましょう。
メールだけに頼るのではなく、オンラインMTGを週1や月1で実施し、状況を確認する仕組みを作ると効果的です。認識の差異や疑問点を早期に解消できるようにすることで、ミスが大きくなる前に対処できる可能性が高まります。
4. 企業独自のノウハウが社内に残りにくい
注意点:経理業務を丸投げすると、社内に業務ノウハウが蓄積されず、外部依存度が高くなる場合があります。また、将来的に社内で経理部門を強化したいと考えている場合、内製化への切り替えに時間とコストがかかることも想定されます。
対策:アウトソーシング先に定期的な報告会やマニュアル作成を依頼し、社内担当者が内容を把握できるようにしておくとよいでしょう。さらに、自社内にも最低限の会計知識を持つ担当者を1名は置くなど、完全外部任せにしない体制を作るとリスクを抑えられます。
費用相場と料金体系
経理アウトソーシングの費用は、企業規模や業務範囲、仕訳数、サービスレベルなどによって大きく変動します。具体的な金額を提示するには、必ず個別の見積もりが必要ですが、ここでは一般的な料金体系と相場イメージを紹介します。
主な料金体系
- 従量課金制
記帳代行や給与計算など、処理件数や従業員数、仕訳数に応じて料金が変動する仕組みです。業務量に合わせて費用が変わるため、閑散期は低コスト、繁忙期は高コストになる傾向があります。 - 月額固定制
一定の範囲をまとめて委託し、毎月定額を支払う方式です。予算計画を立てやすい反面、仕訳数が多くなるとオプション費用が加算される場合もあります。 - パッケージ料金
記帳代行+給与計算+決算支援など、複数業務をセットにして割安価格で提供するプランがあります。特にスタートアップや中小企業がまとめて委託したい場合に便利です。
おおまかな費用例(相場)
- 記帳代行:月額1万円〜/または1仕訳50〜100円ほど
- 給与計算:1名あたり月額1,000〜2,000円+基本料金1〜3万円程度
- 決算・申告サポート:年額5万円〜30万円以上
- 経理全般アウトソーシング(中小企業向け):月額5万円〜50万円程度
あくまで目安なので、実際には業務の複雑度や取引量、使用する会計ソフトの種類によって変動します。最適な選択をするためには、必ず複数社から詳細見積もりを取得して比較検討するのがポイントです。
経理アウトソーシング先の選び方
1. 導入目的と委託範囲を明確に
自社が「コスト削減を最優先したい」のか、「IPO準備のために専門性を最重視したい」のかによって、選ぶべきパートナーは大きく変わります。
まずは、自社が経理アウトソーシングで達成したいゴールを明確化し、委託範囲を絞るところから始めてください。スポット対応だけでいいのか、全面的な外注を考えているのかで、費用感やサービス内容も異なります。
2. セキュリティ・情報管理体制を重視
経理情報は機密度が高く、取扱いには十分な注意が必要です。ISMS認証を取得しているか、データセンターの場所やセキュリティポリシーが明確になっているかなど、事前の確認が欠かせません。
NDA(秘密保持契約)の内容をしっかり読み込み、違反時の対処や補償範囲についても理解を深めましょう。
3. 運用フェーズでのサポート体制を確認
導入前に大々的な営業をしてくれる会社でも、実際に運用をスタートしてからのサポートが弱いケースがあります。
担当者の連絡体制、対応スピード、レポートの提出頻度など、運用中のフォローがどの程度充実しているかは重要です。定例ミーティングやチャットサポートがあれば、問題が起きたときに素早く解決しやすくなります。
専門性を重視するならH2Rコンサルティング
数ある経理アウトソーシング企業の中で、特に高い専門性やIPO準備、内部統制強化を重視する企業にとって有力な選択肢になるのがH2Rコンサルティング株式会社です。以下では、その特徴や強みを簡単にご紹介します。
H2Rコンサルティングの主な強み
- 実績豊富な有資格者が在籍
税理士や公認会計士、簿記資格保有者などがチームを組んで対応し、複雑な会計処理や監査対応も安心して任せられます。 - IPO支援・内部統制構築のノウハウ
多くの上場準備企業をサポートしてきた経験があり、J-SOX対応や監査法人との折衝などにも熟知しています。 - 幅広いシステム・ツールへの対応
クラウド会計ソフト(freee、マネーフォワードなど)や既存ERPとも連携可能。会社の状況に合わせた業務効率化を実現してくれます。 - 柔軟なサービス提供形態
完全リモート型から常駐型まで、ニーズに合わせてサポート体制をカスタマイズできるため、急な業務量の変化にも対応しやすいです。 - 透明性・継続率の高さ
専門知識だけでなく、きめ細かなコミュニケーションを重視しているため、顧客満足度が高く、長期契約が多い点も安心材料です。
導入後のイメージとお問い合わせの流れ
- 課題ヒアリング・スコープ設定
まずは自社の経理課題や導入目的を共有し、どの範囲をアウトソースするかを検討。H2Rコンサルティング側からも、改善案や導入ステップの提案を受けられます。 - 契約・初期設定
契約内容を明確化した上で、必要なデータやシステム環境をセットアップ。スタッフとの顔合わせやオンラインミーティングで、運用ルールをすり合わせます。 - 稼働開始・定期報告
実際の経理業務が始まった後は、月次レポートの提出や定期MTGで進捗を共有。問題点や改善余地があれば迅速に対応し、業務の精度と効率を高めていきます。
「経理アウトソーシングで専門性を強化しつつ、内部統制も盤石にしたい」と考えている企業は、ぜひH2Rコンサルティングへのお問い合わせを検討してみてください。細かなヒアリングと的確な提案を通じて、自社に合った最適な経理体制を構築できるはずです。
【まとめ】経理アウトソーシングで事業拡大を後押し
経理アウトソーシングは、コスト最適化と専門性確保の両立を可能にします。本業に集中することで生産性と付加価値が向上し、法改正対応やIPO準備など高度なニーズにも対応できます。
導入時はコスト・コミュニケーション・セキュリティ面のリスク把握が重要です。最適なパートナー選びには、複数社比較と明確な目的設定が不可欠。
経理部門は企業運営の基盤であり、専門家の力を借りて効率的で安定した体制を構築することが、将来の事業成長に繋がります。人材不足、IPO準備、コスト効率化を課題とする企業は、経理アウトソーシングの導入を検討すべきでしょう。
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